生産進捗・工程進捗の見える化とは?
表示項目・方法・改善への活用例を解説
生産進捗の見える化とは、計画数、実績数、進度、 工程の稼働・停止状態などを、 現場と管理者が確認できる状態にすることです。
数量だけでなく、呼び出し回数・合計時間や 標準タクト・平均タクトまで確認することで、 これまで見えにくかった待ち時間や作業ペースの差を把握できます。
生産進捗・工程進捗の見える化とは
生産進捗の見える化とは、製品ごとの計画数量と実績数量、 現在の進度、工程の稼働・停止状態などを、 現場と管理者が確認できる状態にすることです。
工程進捗の見える化では、単に「生産が進んでいるか」だけでなく、 どの工程で遅れが発生しているか、 停止や呼び出しにどれだけ時間を要しているか、 実際の作業タクトが設定値と合っているかまで確認します。
生産進捗の見える化で確認する主な情報
- 現在、何を生産しているか
- 計画数量に対して、現在いくつ完成しているか
- 計画より進んでいるか、遅れているか
- 工程が稼働中、休憩中、停止中のどの状態か
- 不良が何件発生しているか
- 呼び出しが何回発生し、合計でどれだけ時間を要しているか
- 実際の平均タクトが、設定した標準タクトと合っているか
- 目標達成までに残りいくつ必要か
生産進捗管理そのものの目的や管理方法については、 生産進捗管理とは?目的・管理方法・導入メリットを解説 をご覧ください。
なぜ生産進捗の見える化が必要なのか
製造現場の状況が見えない場合、 工程の遅れや停止に気付くまでに時間がかかり、 対応が後手に回ることがあります。
- 日報を集計するまで進捗遅れが分からない
- どの工程がボトルネックなのか分からない
- 現場を巡回しないと現在の状況を確認できない
- 停止や異常の発生状況が記録されていない
- 呼び出しや支援対応に要している時間が分からない
- 設定したタクトが現場に合っているか判断できない
- 改善活動の効果を数値で比較できない
計画数と実績数だけでなく、 停止、呼び出し、タクト、不良などを合わせて見える化することで、 遅れが発生した結果だけではなく、 遅れにつながった要因も確認しやすくなります。
生産進捗で見える化すべき表示項目
生産進捗を見える化する際は、 完成数量だけを表示するのではなく、 遅れや停止の原因を判断できる情報を組み合わせることが重要です。
| 表示項目 | 確認できること | 改善への活用例 |
|---|---|---|
| 品番 | 現在、生産している製品 | 品種切替時の確認や対象製品の識別 |
| 目標数・指示数 | 計画している生産数量 | 実績数との差を確認する基準 |
| 良品数・実績数 | 現在までに完成した数量 | 時間帯や工程ごとの生産実績を把握 |
| 進度 | 目標に対する現在の進み具合 | 正常・進み・遅れを判定し、早期対応 |
| 稼働状態 | 稼働・休憩・停止などの現在状態 | 停止の発生や稼働状況をリアルタイムに確認 |
| 不良数・不良率 | 不良の発生数量と割合 | 品質異常の早期発見や傾向確認 |
| 呼び出し回数・合計時間 | 応援、確認、部品供給、異常対応などの発生状況 | 待ち時間や支援負荷を把握し、改善対象を発見 |
| 標準タクト・平均タクト | 設定したタクトと実際の作業ペースとの差 | 設定値の妥当性確認や適正タクトの検討 |
| 残数 | 目標達成までに必要な残り数量 | 完了見込みや遅延リスクの判断 |
結果だけでなく、途中で発生しているロスを見える化する
目標数と実績数だけでは、生産が遅れた結果は分かっても、 遅れにつながった待ち時間や支援対応の発生状況までは分かりません。 呼び出し回数・合計時間や平均タクトを合わせて確認することで、 これまで感覚でしか把握できなかったロスを確認しやすくなります。
呼び出し回数と合計時間から見えにくいロスを把握する
製造現場では、作業中に応援、確認、部品供給、 設備対応などのために、担当者や管理者を呼び出すことがあります。
呼び出しに対応して作業を再開できても、 呼び出しが何回発生し、 合計でどれだけの時間を要したかを記録していない場合、 現場全体のロスとして認識されないことがあります。
導入現場で得られた新しい気付き
ステルテックの生産進捗管理システムを導入した現場では、 呼び出し回数と合計時間を記録したことで、 「これほど多くの呼び出しと対応時間が発生しているとは思わなかった」 という新たな気付きが得られました。
生産数量だけでは把握できなかった支援待ちや対応負荷を数値化することで、 人員配置、部品供給、作業手順、異常対応などを 見直すための情報になります。
呼び出しデータから確認できること
- 呼び出しが多い工程や時間帯
- 呼び出し1回あたりの対応時間
- 呼び出しによって発生している累積時間
- 応援や確認が集中しているライン
- 部品供給や異常対応を見直す必要性
- 管理者や支援担当者の負荷が集中している時間帯
呼び出しは、それ自体が問題とは限りません。 重要なのは、発生状況を記録し、 どの工程でどのような支援が必要になっているかを 確認できる状態にすることです。
実際の画面や呼び出し機能については、 ステルテックの生産進捗管理システム で紹介しています。
標準タクトと平均タクトから実際の作業ペースを確認する
タクトは、生産の進み具合を判断するための重要な情報です。 設定した標準タクトだけでなく、 実際の生産実績から確認する平均タクトを並べて表示することで、 計画と現場実績の差を確認できます。
| 項目 | 意味 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 標準タクト | 生産計画で設定した基準となる時間 | 目標数に対する進度判定の基準 |
| 平均タクト | 実際の生産実績から確認する作業ペース | 現場で実現できているタクトの確認 |
| 両者の差 | 計画値と実績値のずれ | 設定値の見直しや改善対象の検討 |
平均タクトが標準タクトより長い場合でも、 直ちに作業者の問題と判断することは適切ではありません。 部品供給、呼び出し、設備停止、段取り、作業条件など、 生産ペースに影響する要因を合わせて確認する必要があります。
適正タクトを検討するための実績データとして活用
設定した標準タクトと実際の平均タクトを継続して比較することで、 現在の設定が現場の作業条件に合っているかを確認できます。 この実績は、現場に合った適正タクトを検討するためのデータとして活用できます。
具体的なタクト表示と設定機能については、 生産進捗管理システムの製品ページ をご覧ください。
生産進捗を見える化する方法
| 方法 | 特徴 | 主な課題 |
|---|---|---|
| ホワイトボード | 低コストで始めやすい | 手作業での更新が必要で、履歴分析が難しい |
| 紙の日報 | 現場で記録しやすい | 集計まで状況が分からず、転記作業が発生する |
| Excel | 自由に項目を設定できる | 入力時点まで更新されず、複数ラインの集計負荷が大きい |
| IoTアンドン | 稼働・停止・異常などの状態を表示できる | 表示する情報や履歴分析の範囲は仕組みによって異なる |
| 生産進捗管理システム | 進捗・状態・実績を収集し、リアルタイムに表示できる | 現場に合う入力方法と運用ルールの設計が必要 |
Excelによる管理の課題については、 Excelによる生産管理の限界とは? で詳しく解説しています。
IoTアンドンの役割については、 IoTアンドンとは?仕組み・メリット・導入方法を解説 をご覧ください。
生産進捗管理システムによる見える化の流れ
1.データを取得する
機械信号、センサー、ボタン入力などから、 生産実績や状態データを取得します。
2.現在の状況を表示する
目標数、実績数、進度、状態、不良、呼び出し、 タクトなどを画面に表示します。
3.履歴を蓄積する
工程やラインごとの実績を保存し、 時間帯や期間ごとの変化を確認できるようにします。
4.原因を確認して改善する
遅れ、停止、呼び出し、タクト、不良などを確認し、 改善対象となる工程や条件を特定します。
生産進捗の見える化で得られる効果
進捗遅れを早期に発見
目標数、実績数、進度、残数を確認し、 計画との差が大きくなる前に状況を確認できます。
見えにくい待ち時間を把握
呼び出し回数と合計時間を記録し、 支援待ちや確認対応に費やしている時間を把握できます。
実際の作業ペースを確認
標準タクトと平均タクトを比較し、 設定値と現場実績の差を確認できます。
停止・不良の状況を共有
現在の状態、不良数、不良率などを表示し、 現場と管理者が同じ情報を確認できます。
見える化した後はKPI管理が重要
見える化によって収集したデータは、 KPIとして継続的に確認することで、 改善前後の変化を評価できます。
詳しくは 生産進捗管理で見るべきKPI一覧 をご覧ください。
見える化したデータを改善につなげる方法
- 計画数・実績数・進度から、遅れが発生している工程を確認する
- 停止、呼び出し、タクト、不良などの関連データを確認する
- 工程、時間帯、品番、作業条件などの共通点を整理する
- 人員配置、部品供給、作業手順、設備対応などを見直す
- 変更後のデータを確認し、改善前と比較する
作業者の評価だけに使用しない
進度や平均タクトに差が出た場合でも、 作業者だけに原因があるとは限りません。 部品待ち、呼び出し、設備停止、段取り、作業条件などを合わせて確認し、 工程全体の改善につなげることが重要です。
IoTアンドンと生産進捗の見える化の違い
IoTアンドンは、主に現場の稼働・停止・異常などの 状態を表示する仕組みです。
生産進捗の見える化では、状態表示に加えて、 計画数、実績数、進度、残数、不良、呼び出し、タクトなどを確認し、 遅れやロスの原因分析、改善活動まで行います。
| 比較項目 | IoTアンドン | 生産進捗の見える化 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 現在の状態を分かりやすく表示 | 進捗・実績・ロスを把握し、改善につなげる |
| 主な表示情報 | 稼働・停止・異常など | 計画数、実績数、進度、状態、不良、呼び出し、タクトなど |
| データの活用 | 現場共有、異常対応 | 遅延分析、工程比較、KPI管理、改善活動 |
IoTアンドンについては、 IoTアンドンとは?仕組み・メリット・導入方法を解説 をご覧ください。
生産進捗の見える化による活用例
呼び出し回数と合計時間から潜在的なロスを発見
ある導入現場では、呼び出し回数と合計時間を記録したことで、 これまで把握していなかった回数の呼び出しと対応時間が 発生していることが分かりました。
生産実績だけを確認している場合、 呼び出しに伴う待ち時間や支援負荷は見落とされることがあります。 呼び出しデータを確認することで、 人員配置、部品供給、作業手順、対応方法などを 検討するための情報になります。
標準タクトと平均タクトから適正な設定を検討
設定した標準タクトと実際の平均タクトを比較することで、 現在の設定が現場の作業条件に合っているかを確認できます。
平均タクトに差がある場合は、 作業そのものだけでなく、 停止、呼び出し、部品待ち、段取りなども含めて確認し、 適正タクトを検討するための実績データとして活用できます。
進度表示による遅れの早期把握
目標数と良品数から進度を算出し、 設定したしきい値に応じて「正常」「進み」「遅れ」を表示することで、 現在の工程が計画通りに進んでいるかを確認できます。
作業終了後に日報を集計する方法とは異なり、 作業中に進度の変化を確認できるため、 遅れが拡大する前に状況を確認するきっかけになります。
こんな工場は生産進捗の見える化を検討すべき
- 進捗確認のために管理者が現場を巡回している
- 日報やExcelを集計するまで遅れが分からない
- 複数ラインの状況をまとめて確認できない
- 呼び出しや応援対応に要している時間が分からない
- 標準タクトが現場に合っているか確認できない
- 停止や不良の発生傾向を分析できていない
- 改善活動の効果をデータで比較したい
呼び出しやタクトまで見える化
ステルテックの生産進捗管理システムでは、目標数、良品数、進度、稼働状態、不良数に加えて、呼び出し回数・合計時間や標準タクト・平均タクトを確認できます。
生産進捗管理システムの表示機能を見るよくある質問(FAQ)
Q. 生産進捗の見える化とは何ですか?
A. 生産進捗の見える化とは、計画数、実績数、進度、 工程の稼働・停止状態などを、 現場と管理者が確認できる状態にすることです。
Q. 生産進捗では何を見える化すべきですか?
A. 品番、目標数、実績数、進度、稼働・休憩・停止などの状態、 不良数、残数などを確認します。 呼び出し回数・合計時間や標準タクト・平均タクトも、 見えにくいロスを確認するために役立ちます。
Q. 工程進捗の見える化と生産進捗の見える化は違いますか?
A. 工程進捗の見える化は、 工程ごとの進み具合や遅れを確認することに重点があります。 生産進捗の見える化では、工程進捗に加えて、 製品ごとの計画数、実績数、残数、工場全体の状況なども確認します。
Q. 呼び出し回数と合計時間を見える化するメリットは何ですか?
A. 応援、確認、部品供給、異常対応などで発生している 呼び出しの回数と時間を把握できます。 生産数量だけでは見えにくい待ち時間や支援負荷を確認し、 人員配置や作業手順などの改善を検討するために活用できます。
Q. 標準タクトと平均タクトはどのように活用できますか?
A. 設定した標準タクトと実際の平均タクトを比較することで、 計画値と現場実績の差を確認できます。 停止、呼び出し、段取りなどの要因も合わせて確認し、 適正タクトを検討するためのデータとして活用できます。
Q. Excelでも生産進捗の見える化はできますか?
A. Excelでも計画数や実績数を集計できますが、 入力時点まで情報が更新されず、 複数ラインのリアルタイムな状態把握や自動集計には限界があります。
Q. IoTアンドンと生産進捗の見える化は何が違いますか?
A. IoTアンドンは主に現在の稼働・停止・異常などの 状態を表示する仕組みです。 生産進捗の見える化では、状態表示に加えて、 計画数、実績数、進度、タクトなどを確認し、改善活動につなげます。
Q. 見える化したデータを改善につなげるにはどうすればよいですか?
A. 進度、停止、呼び出し、タクト、不良などを 工程別・時間帯別に確認し、差が発生した原因を特定します。 そのうえで人員配置、部品供給、作業手順、設備対応などを見直し、 変更後のデータと比較します。